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高気密&高断熱
2023.01.23

樹脂サッシで大事なのはスペーサー

この記事を書いた人

代表取締役
サンエム建設株式会社代表取締役 大山剛人
パッシブハウスを中心とする高気密・高断熱住宅の専門家

建築歴45年、創業は1999年。100年快適に住める健康住宅を思い高気密・高断熱を極めパッシブハウス住宅をわかりやすくお伝えします。

近年、住宅での断熱性能の向上を国が主体となり、国は住宅の断熱性能の向上や消費するエネルギーの削減に力を入れ、高性能な住宅を建てる人には補助金制度を始め、東京都では、住宅の新築時に太陽光発電パネルの設置の義務化(全ての住宅ではないが)を検討しており、どこを向いても省エネの家づくりが盛んになってきました。とても良い事ですし、全ての家が省エネの家になれば素晴らしい事だと思います。

そんな省エネな家を新築(又はリフォーム)するときに、まだまだアルミ樹脂複合サッシが主流の日本。

アルミ樹脂複合サッシとは、アルミと樹脂の素材を組み合わせて作る窓サッシ、屋外側にはアルミの素材で加工した部品で作り、室内側は樹脂で加工した部品で作ったサッシの事。

サッシ枠及び建具の全てが樹脂でできている樹脂サッシは、日本で使われている窓サッシの22%ほどしかありません。5棟に1棟が樹脂サッシを使用している状態です。これに対して世界の主流は樹脂サッシ、アメリカ65%、韓国80%、ドイツ64%、英国76%等々、先進国の樹脂サッシ使用率は日本をはるかに超える普及率になっています。

樹脂サッシ普及率 日本は先進国の中では下位

ただこの樹脂サッシ、使用するにあたり気を付けないといけない部材があります。それはスペーサーという部材です。そもそもスペーサーという部材はどのような働きをしているかと言うと、ペアガラス(トリプルガラス)のガラス間の隙間を一定に保つように、またガラス間に入っているガス(乾燥空気)を逃がさない為の重要な役割を果たしています。スペーサーは2種類あり一つはアルミで加工したアルミスペーサー、もう一つは樹脂で加工した樹脂スペーサーがあります。このアルミか樹脂の違いにより大きな違いが発生します。

アルミスペーサーの場合、画像のようなスペーサーの取付けてある付近(ガラスの四方部分)に結露が発生する事があります。これは冬の外気温の低下で0℃前後に冷やされた外気が、屋外側のガラス~アルミスペーサ~室内側のガラスと冷気の冷たさを伝えてしまう事により、室内側のガラスが冷えて室内空気の温度差との関係で結露が発生してしまうからです。

スペーサー付近に薄っすら結露が発生

一方樹脂スペーサーはどうかというと、樹脂スペーサーであれば絶対結露しないとは言い切れないのです(弊社が施工エリアにしている埼玉県南部、東京都一部地域であればほとんど結露の問題は解消しますが)。ただ、アルミスペーサーの方が露店温度以下になりやすいので、アルミスペーサーの方が結露する状態ができやすいと言えます。

下のグラフを見てください。これは樹脂とアルミスペーサーを使った時に、同じ室内環境での露店温度を比較したグラフです。室外温度0℃ 、室内温度20℃の環境の中での樹脂サッシのガラス(Low-E)の 表面温度を表したグラフです。この室内環境で結露が発生する温度(露店温度)は9.3℃(赤色の点線)なのですが、樹脂スペーサーが組み込まれたペアガラスの表面温度は11.9℃と露店温度まで下がらないので結露しません。それに対してアルミスペーサーが組み込まれたペアガラスの表面温度は露店温度以下の8.9℃になってしまうので結露が発生するのです。

では室内温度23℃、湿度50%ではどうか?この場合の露点温度は12.1℃なので、結露が発生し始めます。あるいは上のグラフのように、室内温度20℃、湿度40%の時、外気温がマイナス3℃くらいになってくると、ガラスの表面温度も下がりますので結露発生の条件が整ってしまいます。

室内温度と湿度の関係で、ガラス表面に結露が発生するかしないかの分かれ目になるので、室内温度を上げすぎるのも結露の状態を作ってしまうと言えます。

この違いはアルミと樹脂の熱伝導率(熱の伝えやすさ)の大きな違いにあると言います。アルミは樹脂の1000倍の熱伝導率になり、つまりアルミは樹脂の1000倍熱を通しやすい素材だという事です。熱と同じように冷え(冷たさ)も同じように通しやすい(熱が逃げやすい)素材だという事ですね。

アルミスペーサーの方が樹脂よりも安価なので、アルミスペーサーを使う工務店やハウスメーカーもいますが、樹脂スペーサーを使っても1棟(35坪程度)当たり10万円前後の費用アップなので、樹脂サッシ、複合サッシを使われるときは樹脂スペーサーをお勧めします。

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