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家づくりコラム
2021.07.01

断熱性能UA値の一人歩き

この記事を書いた人

代表取締役
サンエム建設株式会社代表取締役 大山剛人
パッシブハウスを中心とする高気密・高断熱住宅の専門家

建築歴45年、創業は1999年。100年快適に住める健康住宅を思い高気密・高断熱を極めパッシブハウス住宅をわかりやすくお伝えします。

最近、インターネットで家づくりの事を調べようとすると、膨大な情報量が検索でき、家を建てようと検討している方にとっては、すごく便利な世の中になってきました。ただ、いい情報、悪い方法、いろんな情報が飛び交っていますから、そこから正しい情報を拾ってくのは少々苦労します。

そもそもUA値っていう言葉はどうゆう意味を持っているのか?という事です。【UA値=外皮平均熱貫流率】と言われていますが、外皮とは冷暖房している屋内としていない屋外を仕切っている部分、つまり1階の床(基礎)や外壁、窓、天井(屋根)にあたります。熱貫流率とは、そのような外皮を構成している断熱素材等の熱の伝えやすさを数値化したものです。UA値は数字が小さいほど断熱性能が優れているという事になります。

今の日本の住宅建築の現状は、法律上の性能基準がはっきり示されていないため、ある意味、どんな断熱性能の低いエネルギーを消費する家を建てても法律違反にはならないわけで、お客様にとっては、建てる家がどの程度の断熱性能やエネルギーを消費する家なのかわからず不安しかありません。なぜ国は法律的に性能基準を決めないのか? それは

① 建築会社・工務店の半数以上が自社での対応が出来ていない

② 検査評価機関の対応が、人員的・知識的に対応が間に合わず混乱が起きるのではないか

との理由から法律的な基準の取り決めは延期されました。

そこで国としては、契約時にその建物の断熱性能値、エネルギー消費量等が最低ラインの平成28年省エネ基準に適合しているか否かを、お客様に説明することを義務化しています(説明義務制度)。上記説明義務制度は、埼玉県南西部では、UA値=0.87あるいはηAC(イータエーシー) 値(冷房期の平均日射熱取得率)=2.8という数値が断熱性能の基準となっています。

実はこのUA値、家の断熱性能を表す数値として単純に比較するという意味ではすごくわかりやすいのですが、UA値の数値が小さいから室内環境が良好になるとも限らないのです。地方の広々とした自然満載の土地に、隣家や他建築物の日影の影響を受けないで建てる場合と、都市部の狭い土地に隣家がビッシリ立ち並び、1日ほとんど陽射しが当たらないような土地に建てる場合とでは、冬の日射取得量や夏の日射遮断量の影響を受けるので、地域や隣地環境により冷暖房エネルギーの消費量も違い、同じ数値でも室内環境が違ってきます。その土地での気候風土や近隣の建物環境が大きく影響されます。

もちろんUA値やηAC(イータエーシー)値の数値を向上させ、断熱性能を向上させることは必要ですが、それと同じくらい大事なことは、実際の室内環境や室内体感温度であると思います。冬季の日中陽当たりが良いと、その分暖房エネルギーの消費が少なくなるのに、UA値の算出には考慮されていない、逆に夏季の都市部での冷房エネルギーの消費は考慮されていない。ですからUA値とはあくまでも大枠でとらえた性能値と考えられます。

これからは実情に即した断熱性能を求め、実際の環境にあった効率的な家づくりが必要になってくるのではないでしょうか?

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