2024.09.03
気密測定の数値が今までとは違っていた原因は?(埼玉県ふじみ野市)
この記事を書いた人
サンエム建設株式会社代表取締役 大山剛人
パッシブハウスを中心とする高気密・高断熱住宅の専門家
建築歴45年、創業は1999年。100年快適に住める健康住宅を思い高気密・高断熱を極めパッシブハウス住宅をわかりやすくお伝えします。
先日、もうすぐお引き渡しになるふじみ野市のK様宅で、いつものように気密測定を行いました。
測定結果は思いもよらない結果になりました。弊社の気密は平均C=0.2前後の数値に落ち着くはずが、この現場に関してはC値=0.6という結果でした。一般的には、0.6という数値はそれなりに気密度が高い数値ですが、弊社のいつも出す数値と違うので、どこからか空気が漏れてしまっているのか? あるいは気密工事の施工不良か?
くまなく一斉点検を開始、リビング、キッチン、2階洋室、トイレと順番に確認作業をしていき、洗面所へ来たときに、なんとなく嫌な予感が・・・。
その予感は的中!
原因は床下部分の、洗面所と浴室の間にセットされている基礎点検口のフタが外れていました。外れていた原因は、水道設備業者がユニットバス下の給排水配管の水漏れの確認作業の途中だったので、フタが外れていた状態になっていたようです。
これが設置されている理由は、ユニットバスの床の下には断熱材がなく(もちろんユニットバスの床自体には断熱材が付いてます)土間コンクリートになっているので、このような点検口でふさがないと空気が洗面所床下から浴室床下に、冷たい空気が流入してしまうので、洗面所と浴室の床下空間はこのように遮断するのが一般的です。(床断熱の場合)
今回はこのフタが外れている状態を確認しないまま、測定を行ってしまったので、いつもの数値にならなかったことが判明!
後日再測定を行った結果、C値=0.3という数値に落ち着きました。今回の現場はコンパクトな23坪のお家なので、数値もいつもより少し大きめの結果となりました。測定数値は正直です。
床断熱工法(1階の床板のすぐ下に断熱材を入れる工法)の場合、断熱性能を保持するための意外な盲点となるヶ所は、床下収納庫や床下点検口の設置部分です。収納庫や点検口のフタの部分に、高気密型点検口や収納庫部材を使用している工務店であれば問題ありませんが、そうでないと床下の冷気が蓋を通して伝わり、足元を冷やしてしまうので注意してください。
このように気密性と冷気の流れは密接な関係がありますので、気密性を向上させることが、断熱効果を高め換気計画もしやすくなるので、厳冬の季節でも快適な生活が送れる空間が出来上がります。