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高気密&高断熱
2023.10.01

実は全館空調方式は2種類ある

この記事を書いた人

代表取締役
サンエム建設株式会社代表取締役 大山剛人
パッシブハウスを中心とする高気密・高断熱住宅の専門家

建築歴45年、創業は1999年。100年快適に住める健康住宅を思い高気密・高断熱を極めパッシブハウス住宅をわかりやすくお伝えします。

最近、断熱性能気密性能の向上で、個別冷暖房ではなく全館空調方式を採用される方が徐々に増えてきました。

全館空調方式とは、一般的に1台の空調機器(エアコン等)で家の中全部を冷暖房する方式で、玄関やトイレにいても部屋とほぼ同じ温度になるような仕組みにする方式です。

ですがこの方式、実は大きく分けると2種類の方式に分かれます。

②多くの大手ハウスメーカー、地域大手ビルダーが採用している方式

①主に地場の工務店などが採用している方式

ではどのような違いがあるか?

【多くの大手ハウスメーカー、地域ビルダーが採用している方式】は、一番のポイントとなるのが、容量(パワー)の大きいエアコン1台~2台を1階及び2階天井裏に設置して、ダクト等を通して冷気・暖気を各部屋に送る方式、換気を同時に行う機器もある。

各ハウスメーカー独自の空調システムを採用している場合が多く、巨大なルームエアコンを搭載した空調機器

【主に地場の工務店が採用している方式】は、一番のポイントとなるのは、床(基礎)、外壁、天井(屋根)及び窓サッシ、玄関ドアの断熱性能をG3レベルの性能に向上させ、市販のルームエアコンを1台稼働させて高断熱により最適環境を保つ方式(実際は2台のエアコンを設置するが、季節に合わせて冷房用・暖房用と分けてどちらか1台を可動させる)。 風の流れは第1種換気方式を採用して循環させる。

小屋裏エアコン室のようす、ルームエアコン1台で屋内すべて冷房可能
暖房用エアコンはリビングやキッチンに壁掛けエアコンを設置、これで全館空調の効果を出す

それぞれの方式は、全館空調という役割で言えば、同じ効果がありますが、実はここに大きな落とし穴があります。ランニングコストの問題です。

ここに 大手ハウスメーカーが採用する方式と工務店が採用している方式の長所短所を列記します。

【大手ハウスメーカーが採用する全館空調】の【長所】

①24時間365日快適な室内環境を作り出せる

【大手ハウスメーカーが採用する全館空調】の【短所】

①イニシャルコストに高額な費用が掛かる

②冷暖房システムの冷暖房能力が大きいため、それなりに電気代がかかる(ただ、太陽光パネルの容量も10KW近く又はそれ以上搭載しているので、電気代がかかっていないと勘違いしてしまう)

③冷暖房システム機器は、各ハウスメーカーで独自販売している機器が多く、不具合時の修理・交換は、別の業者に頼めない。

④ランニングコストの高額化 冷暖房システム機器は耐用年数があるので、交換時期になるとまた高額な費用が発生してしまう。

⑤冷暖房機器と換気機器が一緒になっているシステムは、換気機能を止めることが出来ないから、1年中稼働させることが必要になる。

小屋裏エアコン室より部屋に冷気を送る吹き出し口

【工務店が採用する全館空調】の【長所】

①24時間365日快適な室内空間を作り出せる

②市販ルームエアコン1台で屋内全部の冷暖房を賄うことが可能なので、省エネ・省電力に向いている。※ルームエアコンの能力は、6帖~14帖くらいの大きさ。

③HEAT20 G3レベルの家であれば、太陽光パネル容量を6kw前後搭載すれば電気代は0(あるいはそれ近く)になる。※今は蓄電池の費用対効果は低いが、将来容量が大きく安価な蓄電池が出来れば、自家消費する電気が増え、より効果が得られる。

④ルームエアコンが耐用年数を迎え、交換時期になっても、家電量販店に行って機器の交換を頼める。

⑤屋内全域が高断熱・高気密の空間なので、冷気、暖気の風の流れを全く感じない。

⑥寒い、暑いに関してのストレスを感じない。

小屋裏エアコン室より部屋に冷気を送る吹き出し口

【工務店が採用する全館空調】の【短所】

①屋根・外壁・床(基礎)の断熱性能、窓の断熱性能を格段に向上させるためにそれなりの初期費用が掛かる。※しかしトータルコスト(イニシャルコスト+ランニングコスト)を比較すると全館空調の方が低コストになる。

充填断熱と外張断熱のダブル断熱工法
サッシは樹脂サッシLow-Eトリプルガラスを使用

全館空調を検討するなら、まずは家の断熱性(できれば最低UA値0.35以下)・気密性(できれば最低C値0.3以下)の向上が重要

どちらを選択するかはコスト面が問題になりますが、できれば全館空調のような家づくりをしていただきたいと思っています。

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